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「檄を飛ばす」

2020.04.26

 

「2―2のまま、試合は後半35分を経過し、のこり時間もあとわずか。両チーム勝ちたいという気持ちが全面に現れた好ゲームとなっております。しかし、足をつる選手もちらほら現れ、さすがに両チーム疲れの色を隠せないようです。おおっと、ここで両チームの監督がピッチぎりぎりまで進み出て、選手に檄を飛ばしています…」

 

さて、問題です。「檄を飛ばす」の正しい意味は次のどちらでしょうか?
A.元気のない者に刺激を与えて活気づけること
B.自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること

正解は………

Bとなります。

 

「檄を飛ばす」この言葉は、文化庁が行う「国語に関する世論調査」でたびたび調査される言葉で、調査では平均約30%の人しか正解しない言葉のようです。今春の大阪府公立高校一般選抜問題【国語C】の作文にもこの言葉に関する出題がありました。

 

冒頭、サッカーの試合で白熱している場面をイメージしていただけた(!?)と思いますが、正しい解釈は、監督は選手に「俺は、この試合で勝つためにはこの作戦が正しいと思っているんだ。みんなもそう思うだろ。いや、絶対そうだよなぁ」と伝えたことになります。「あとちょっとがんばれば勝利だよ、最後までがんばれ!」ではないのです。

 

今、言語に関しては大きなパラダイムシフトを迎えようとしています。プログラミング教育が主流になっていくと、「言葉」にとって代わり「CODE」が言語の主流になる可能性があります。命令を行う論理的な指令のみが言語となり、感情を含むもの、情状を酌量して解釈するものが、曖昧で不要なものとなる恐れがあります。日本語の素晴らしさ(日本語だけではもちろんありませんが…)、言葉の良さとは、人間の歴史を感じることができること、言葉に込められた、今も昔も変わらない想いを感じ取ることができること、そしてそれとは逆に今と昔で変わってしまったものを感じ取ることができることにあるのではないでしょうか。

 

言語が人々との意思の疎通、そしてコンピューターとの意思の疎通だけの役割のみで良いのならば、人間の面白みや可能性が狭められてしまう気がしてなりません。

 

「やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」(古今和歌集「仮名序」)
このように見事に表現した1000年前の歌人の心の奥深さを感じ取るために必要なものは、言葉の量と広がりなのです。


葉っぱが多いほど木がすくすく成長するのと同じように、言葉の数が多いほど人間は成長できます。
家にいて時間のある今、言葉探しの旅に出てみるのも素敵ですね。

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